ペンギンオヤジの舌がん闘病記 Written by ペンギンオヤジ

【書籍】「最高のがん治療」に学ぶ情報リテラシーの磨き方(ニセ情報にだまされない)

がん 書籍

世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった「最高のがん治療」
津川友介、勝俣範之、大須賀覚:著
ダイヤモンド社

この記事を書いてる現在(2020年4月)、世間は新型コロナウイルス騒動で大変なことになってます。

こういう騒動や自然災害などが発生すると、必ずといっていいほど、デマや騒動に便乗した詐欺などで被害を被る人が出てしまいますよね。。

今回の騒動に関しても、すでに数々のデマが飛び交いしました。

  • トイレットペーパーがなくなる!
  • 26℃くらいでウイルスは死滅するからお湯を飲めばいい
  • 東京がロックダウンされる

この他にもさまざまなデマ情報が飛び交いましたよね。そして多分これからも・・・

デマに躍らされるのもイヤだし、自分が知らないうちにデマの拡散に手を貸してしまのもイヤですよね。

どうしたらデマなどのニセ情報にだまされないようになるのでしょうか?

今回、ご紹介する「最高のがん治療」。

この本は怪しいがん情報にだまされる人をなくしたい!という思いで3人の医師によって書かれたものです。

基本的には、がんについて書かれた本です。でも、怪しい情報にだまされないためにどういう点に気をつければ良いかが書かれていて、それが今回のウイルス騒動のデマ情報を見抜くためのヒントにもなると思うので、シェアしたいと思います。

怪しい情報に踊らされないためにも、自分がうっかりデマを拡散しないための参考にしてもらえれば嬉しいです。

【目次】

教育レベルや収入が高い人ほど、怪しいがん治療にだまされやすい

悩む人

科学的根拠のないがん治療法である民間療法にだまされてしまうのはどんな人なのか、アメリカで研究した報告があります。

その結果を見ると、教育レベルと収入が高い地域に住む人ほど、標準治療ではなく代替療法を受けている人の割合が高いことが明らかになったのです。

ちなみに、日本人を対象にした研究でも同様の傾向が見られています。

まずは、「自分だけは大丈夫」という思い込みを捨て、誰でもだまされる可能性があると思ってください。

この本によれば、トンデモ医療の被害に遭ってしまった人の多くは、とてもマジメでネットや本で一生懸命に情報を調べていたらしいです。

情報を調べれば調べるほど、ネットや書籍に書かれてるトンデモ医療の情報に触れる機会が増えて、やがては信じ込んでしまうという罠にハマってしまうのだとか。

逆によく分からないから医師に聞こうと思ってる人は、被害に遭わずにすんでいるそうです。

いくら情報を調べようが、少しくらいの知識があっても「専門的な医療およびがんの知識がなければ、医療情報が正しいかどうか判断することは難しい」と著者はいいます。

インターネット上のトンデモ医療を信じ込んでしまう4つの理由

PCキーボードと握り拳

理由1:効果の判断が難しい

基本的に、医療情報にはウソが入りやすい性質があります。なぜなら、ウソであることがわかりにくいからです。
すぐには確かることができないものが多いのです。

たとえば、「●●を食べるとがんになる!」という情報があったとしてもすぐにはそれがウソなのかどうか分からないんですね。

毒でも喰らえば、それがすぐに毒だとわかるでしょうが、人は長い時間をかけて、がんになるので●●を食べたことによってがんになったかどうかの因果関係はわからない。。

理由2:拡散されている情報は正しいように見える

人は情報の正しさを判断する時に、その情報が複数の場所で言われているかどうかを参考にする傾向があります。

インターネットで好まれて大きく広がる情報には、「目新しい」「斬新」「単純明快」「インパクトがある」「陰謀めいている」などといった特徴があります。

多くの人が言ってるから、これは正しい情報なんだろうと思って真偽を確かめもせずにネットで拡散してしまったことありませんか?(恥ずかしながら、私はあります)

ネットでは過激な情報ほど拡散されやすいと著者は書いてます。

逆に当たり前の話は、面白くもなんともないのでそれほど拡散されないとも。

理由3:レビューがよいと正しいように見える

がん本の場合、レビューはあてになりません。

がん本の場合、個人の経験談だけでその治療法がよいの評価することは困難です。

「こうして私はがんを治した」というトンデモなレビューがついても、専門家がそのレビューが正しいかどうかをチェックしてくれることは殆どありませんよね。

その結果、「まったく効果が期待できない治療法を紹介する本にかなりの高評価がついてしまうことがしばしば起こります」と。

ちなみに、アマゾンでがんに関する本のトップ12を調べたら、科学的根拠にもとづいて書かれた信頼できる本は3冊しかなかったとか。。

よく売れてるから、信頼できるというのも違いますね。

理由4:自分の好みに合う情報が集まってくる

ユーチューブで何かの動画を見ると、それに関連する動画がどんどん「次の動画」欄に出てきます。

このアルゴリズムの怖いところは、一度トンデモ医療を見ると、それに関する情報や、トンデモ医療をすすめている人の情報にどんどんさらされることです。

ツイッターのタイムラインって、基本的には自分が「この人おもしろそう」と思ってフォローした人のつぶやきが流れてきますよね(もちろんフォローしてない人のRTも間接的にながれてきますが・・・)

だから、どうしても自分の好みの情報ばかりを見てるうちに、それが世間一般の常識と思い込んでしまう危険性はかなりあるんじゃないかと思います。

加えて「過激なもの」「陰謀論的なもの」ほど拡散される傾向があるのだから、そんな情報を見続けているうちに「その人が備えている常識を書き換えられてしまい、そこから戻ることは困難になってしまうリスクすらある」と著者は警鐘を鳴らしてます。

「本に書いてあるから正しい」と信じるのは危険

ばつ印をする医師

「本として出版されているものは信頼できる」と思うのは間違いです。
この誤解は高齢者の方に特に多く、ちゃんとした出版されているのだから真実だろうと思ってしまうのです。

私たちがアマゾンのがんカテゴリーランキングトップ12位に入る本をすべて読んで確認したところ、科学的に正確な内容で書かれた本はわずかに3冊だけでした。

「●●でがんが治る」となんの科学的根拠のない民間療法を宣伝すると、薬機法という法律に違反するけど、それを「●●療法でがんが消えた」と本のタイトルにしてしまえば、多くの場合で法律違反にはならないとか。

さらに、その本の広告を新聞や雑誌に載せても法律に問われない場合があるということです。

なんだか、パチンコ屋さんと景品交換所みたいな話しですね。

信頼できる専門家の2つの特徴

説明する医師

特徴1:標準治療を推奨している

信頼できるがん治療法とは、保険適用である標準治療のことです。
大事な治療方針の決定は、保険診療をしている専門家に相談してください。

根拠がなく、高額な治療法をすすめる医師に相談することは、ご自分の健康を害したり、経済的な損失をこうむるリスクがあります。

特徴2:ほかの医師と治療判断が変わらない

がんの治療法にはいろいろな種類がありますが、基本的にはどの病院でも同じ方法を採用していて、日本中どころか世界中どこにいってもほとんど変わりません。

少し異なるくらいならよいのですが、その医師しか行っていない特殊な治療法をすすめられた場合は注意が必要です。

ほかの医師と治療方針が同じかどうかを調べるには、科学的根拠に基づいたウェブサイト(国立がん研究センターなど)の情報と見比べるか、セカンドオピニオンを受けるという2つの方法がある。

【まとめ】

ボード上のポイント

誰でもだまされる可能性がある

拡散されている情報は正しく見える

ネットでは過激な情報ほど拡散されやすい

レビューが良くても正しい情報とは限らない

ネットでは自分の好みの情報が集まりやすい

書籍として出版されていても正しいとは限らない

信頼できる専門家の声に耳を傾ける(信頼できる専門家は選ぶ必要がある)

感想

感情に左右される人形

わたし、舌がんを告知された後、がんについての本をあれこれ読み漁ってたんですよね。

その当時は何としても手術したくない!(後遺症が残るから)という思いが非常に強かったんですよ。そうすると、本を読んでいても自分にとって都合のよい内容だけを信じるし、不都合な真実には目を背けるようになってました。

例えば、この本にも書かれてる糖質制限の話し。

がんは糖質を栄養素にするため、糖質を減らすことでがんの進行をゆっくりにできる

この「糖質制限」をまともに信じたんですよね。告知から手術までの1か月間、それこそ藁にもすがる思いで糖質制限をした食事をとってたんですよ。

でもね、

いわゆる糖質制限ダイエットが、がんの進行をゆっくりにしたり、がんを縮小させたりする科学的根拠はありません。

これがエビデンスなんですよ。そもそも健康な細胞も糖質を養分にするので下手に制限すると副作用が出てしまうんですね。

今にして思えば、その当時は本当に自分にとって都合のよい情報だけを信じようとしていたのだと思います。

最初に書いたように、新型コロナウイルスで日本だけでなく世界中が大変なことになってますよね。

怪しいデマや「これで新型コロナウイルスの感染を防げる!」という妙な悪徳商法みたいなものが世間に出まわってます。

本来は、信用できる人=医療関係者の言葉を信じればいいのですが、今回は未知のウイルスのせいか、医療関係者でも人によって見解がまちまちで判断に迷うことがあるように思うんですよ。

おまけに、医療関係者が明らかにデマとわかる情報をネットやワイドショーで撒き散らかしていたりして・・・

例えば「PCR検査は多くの人にやった方がいいのか」「布マスクは効果的なのか」という問題については人によって見解が分かれてますよね。

そんな時、私はとりあえず判断をいったん保留にするようにしてます。

それと、テレビのワイドショーやネットの情報から少し距離を置くのも有効かと思ってます。

そもそも、かつての私がそうだったように、人がトンデモ情報に騙される根本のところには「不安」や「恐怖」という平常ではない心理状態があると思うんです。

だから最初にやることは、心を落ち着けること。それに限るんじゃないでしょうか?

それと、この本には次のようなトンデモ医療を見分けるポイントも書かれていて、がんになった時には是非とも知っておいた方がいいと思います。

  • トンデモポイント1:保険が利かず高額な治療法は危険
  • トンデモポイント2:「どのがんにも効きます」という文言を信用してはいけない
  • トンデモポイント3:「免疫力アップ」という言葉にだまされるな
  • トンデモポイント4:個人の経験がほかの人にも有効とは限らない
  • トンデモポイント5:細胞実験レベルのデータだけでは信用できない
  • トンデモポイント6:「がん予防に効果があるからがん治療にも効く」わけではない

それと、著者の一人である大須賀覚氏がニセ情報に騙されてしまう一つの要因として「エコーチェンバー現象」について書かれてます。とても有用な情報だと思うので、お時間があれば是非とも読んでみてください。

大変な時期ですが、デマや怪しい治療法に騙されないように、そして自分が変な情報を拡散しないように気をつけて、なんとか乗り越えていきましょう!