ペンギンオヤジの舌がん闘病記 Written by ペンギンオヤジ

【闘病記-11】手術後に抗がん剤治療を受け入れた理由

闘病記

【闘病記】手術後に抗がん剤治療を受け入れた理由

ペンギンオヤジ「手術から2週間が経過した頃「今後、転移する可能性が高い」という検査結果が出て、主治医からは放射線治療と抗がん剤治療をすすめられました。
色々と悩んで一度は断った抗がん剤治療を最終的には、受け入れることを決めた顛末についてまとめました」

【目次】

検査結果と今後の治療方針

資料をチェックする医師

手術で切除された私の舌は顕微鏡検査に回されました。

そして手術から2週間が経過した頃、その検査結果を伝えに主治医の先生が病室へとやって来ました。

主治医「残った舌の組織内にまだ癌細胞が残っていて、それが血管やリンパ節を伝って転移する可能性を否定できない。」

つまり、このまま放置しておくと転移・再発の可能性が高い、ということです。

主治医からは「放射線治療」と「抗がん剤治療」を並行して行うことを提案されました。

【放射線治療と抗がん剤治療についての説明内容】

  • 放射線治療は全部で33回の放射が必要
  • その期間中に抗がん剤(シスプラチン)も併用して徹底的に癌を叩く!
  • ただし、必要とされる33回の放射の途中でやめてしまうと全く意味がなくなってしまう
  • 副作用としては、放射線の照射で元気な細胞にもダメージを与えてしまうし、皮膚が焼けただれる可能性もある

そんな話しを聞いて私は癌細胞を叩く代償として放射線と抗がん剤で体がボロボロになるようなイメージを持ってしまいました。

その場で結論を出せるはずもなく「少し考えさせてください」と時間をもらうことにしました。

▼その日のツイッター

検査結果が出た。まぁ、予想通り。ただ、その先どーするか?はガチで「人生の選択」になる。さて、どーしたものか?何を信じればいい?

自分の命、自分で決めるしかない!どんな選択をしても、すべて自己責任!

何だか色々なコトがあった1日だったなぁ~。不安に思うコトもあるけど、きっと最後はすべてうまくいくって信じてる。根拠なんて何もないけど、うまくいく、絶対に!

今、改めて読み返してみるとだいぶ強がっていますが、転移の可能性を告げられて心の中では動揺し相当に不安を感じていたのです。

放射線治療と抗がん剤治療を断った理由

指と指でバッテン

こういう場合、他の人はどうするんでしょうね?

常識的に考えれば、医師の言うとおり放射線治療と抗がん剤治療を選択するのが一番だと思うのです。

ただでさえ、主治医からもセカンドオピニオンのドクターからも「たちの悪い癌」だと言われていたのですから。

だけど、結論から先に書くと、

放射線治療と抗がん剤治療は断りました。

理由は2つです。

(1)家族のもとに早く帰りたい

(2)これ以上、自分の体を傷つけたくない

家族のもとに早く帰りたい

手をつなぐ影

まずは家族のこと。

この年の3月に母が入院し5月には父が入院しました。

そして6月には私が入院し、4人家族のうち3人が入院という状態で我が家は非常事態だったのです。

一人残った弟が入院中の家族3人の見舞いやら諸々の手続きなどをやってくれていました。

それに、入院中に見舞いに来てくれた弟から両親の容体を聞かされていたのですが、2人とも回復が遅れていて心配な状況がつづいているとのこと。

そんな中で、私は一刻も早く退院して両親のもとに駆けつけたい!弟の負担も減らしてあげたい!そう考えたのです。

だからこれ以上、入院生活を長引かせるようなことはしたくなかった。

これ以上、自分の体を傷つけたくない

顔に手を当てて悲しむ姿

「身体(しんたい)髪膚(はっぷ)これを父母に受く
あえて毀傷(きしょう)せざるは孝の始めなり」

子供の頃に母に教えてもらった言葉です。

人の体は両親からもらったものなのだから、その体を傷つけないようにすることが孝行の始まりだ、そんな意味です。

実は癌の手術で自分の舌の一部を切除することを決めたときに、幼い頃に母に教わったこの言葉を思い出していました。

そして、放射線と抗がん剤治療の話しをもらったとき「もう、これ以上、自分の体を傷つけたくない!」と思ったのです。

それは、親孝行とかそういうことではなく、手術の傷もまだ癒えていない状態なのにこれ以上、自分の体にダメージを与えたところで元気になれるとはとても思えなかったのです。

自分の体力と免疫力を信じる

believe in yourself

「もう、これ以上の治療は受けない」そう決めたものの正直、この決断は間違っているんじゃないかと思い「怖い」と感じることが何度もありました。

放射線と抗がん剤治療を受けたからといって、それで安心というわけではない。

逆に、治療を受けなかったからといって、癌の再発が確実というわけでもない。

こうして散々悩んだ結果として「放射線治療と抗がん剤治療は受けません」と主治医に告げました。

その代わり、自分で体力をつけて、免疫力を高めるように生活を改善していく。できる限り癌が再発しないように気をつけるから、寛解とされる5年間は伴走してください。

主治医にそう話しました。

医学的には全く根拠も何もないし、論理的でもない話しだったこともあり、主治医は私の話に「しょうがないな・・・」そんな顔をして病室を出ていきました。

自分の判断は間違っていたのか?

はてなマークの植物

「放射線治療と抗がん剤治療は受けません」

そうドクターに告げた後も主治医からは何度か「やはり放射線はやりませんか?」と言われました。

そして、その度に「やめておきます」という受け答えが何度か繰り返されました。

でも、入院中は週に一度体重を量る日があったのですが、手術後も体重の減少が止まらなかったのです。。。

どんどん痩せていく・・・

もしかしたら、癌細胞が今も体のどこかで元気な細胞を食い荒らしているのではないか?!

そんな嫌な予感が際限なくひろがっていきました。

そして、放射線治療と抗がん剤治療を断った自分の判断はやはり間違っていたのではないか・・・?

そんな迷いが心の中でどんどんと大きくなっていったのでした。

小林麻央さんの訃報

広がる雷雲

そんな自分の判断に心が揺らぎ始めていたときに飛び込んできたのが、小林麻央さんの訃報でした。

どんなに本人が前向きに明るく頑張っても癌に勝てなかった・・・

その事実は私にとってもショックだったし、もしかしたら自分も・・・と思わざるを得ないものでした。

やはり、怖かったのです。癌という病気が・・・

▼この日のツイート

小林麻央さん。同じ癌患者として応援していたというか、麻央さんが頑張っているから自分も頑張らねば!そんなふうに思っていた。それだけに、訃報に接してショックが大きかった。

2017年6月23日。小林麻央さんの訃報が流れた日のこと。

見舞いに来てくれた弟から入院している両親の容体が芳しくないことを聞かされました。

  • 両親の容体のこと
  • 小林麻央さんの訃報
  • 減り続ける自分の体重と自分の判断への疑問

そんなことが重なって、この日はメンタルが完全に落ちてしまいました。

これまで、割と順調に回復してきたけど、昨日から今日に掛けて発語のリハビリがクリアできなかったり、食事もあまり食べられなかったり、と色々と躓き気味。メンタルがかなり弱っている感じで気持ちが完全に落ちている。。
(泣き言いってゴメン)
一晩ぐっすり寝て、先ずは気持ちを立て直さないと!

弟の一言

腕組みした男性

麻央さんの訃報があった日、見舞いに来た弟に放射線治療と抗がん剤治療を断ったことを話しました。

放射線や抗がん剤治療を受けたからといって必ずしも再発しないとは言い切れない。

それよりも体力をつけて免疫力を上げれば、きっと大丈夫だから。

確か、そんなことを弟に話しました。

すると、弟は私の話を聞き終えると私にたった一言。

「それは、単なる願望でしょ」

それだけいうと、あとは何も言いませんでした。

主治医との口論で心が決まった

ばつ印をする医師

そして、その日の夕方のこと。

主治医が私の病室へとやって来て「もう、大丈夫だから」と、鼻のチューブを抜くと言ってくれました。

しかし、もうその時点で私は精神的にかなり落ち込んでいて、主治医の申し出に対しても「やだ!」と答えてしまいました。

気持ち的に「もう、放っておいてくれ!」そんな気分だったのです。

主治医はちょっと厳しい表情になり「いいから、抜くよ」と続けます。

それに対して私は頑なに拒否しづけました。

ダメだよ!他の患者さんは癌を治すためにもっと苦しい治療も頑張ってるんだぞ!

そんな主治医の言葉にも、その時の私は素直になれずに「やです!」と言って背を向けてしまったのです。

しばらくの沈黙の後、主治医は「明日は絶対に抜くからね」と言い残して病室を出て行きました。

なんとも情けない話しです。。

しかし、この時の「他の患者さんは・・・」という言葉は私にある決心をさせてくれたのです。

 

抗がん剤治療(TS-1)を受け入れる

抗がん剤(TS-1)

それから数日後の退院前日。

処置室で気管切開した傷の抜糸をした後、主治医が私の顔を見ながら言いました。

「最低限の抗がん剤治療を受けてみませんか?」

詳しい話しを聞くと、抗がん剤の名前は「TS-1」といい、飲み薬なので自宅でも治療が可能とのこと。

副作用としては、以下のような症状が出る可能性があることを説明されました。

  • 吐き気
  • 倦怠感
  • 腎機能障害
  • 骨髄抑制(白血球の減少や貧血などの症状)
  • 下痢または便秘

1日2回、2週間服用したら1週間休み。そしてまた2週間の服用・・・というサイクルを3か月から半年間つづけるとのこと。

ただ、エビデンス(この治療が効くという確かな臨床結果)がないので、本当に効果があるかどうかは分からない、とも言われました。

実は、この「TS-1」という抗がん剤については手術前にも一度すすめられていたし、セカンドオピニオンの時にも次のような説明を受けていました。

  • 確かなエビデンスはない
  • この薬で癌が根治することはない
  • でも、人によってはかなり高い効果が出ることがある

つまり、「TS-1」が効くかどうかは、やってみないと分からないということです。

それでも、癌が残っていて再発するかもしれない!という恐怖に密かに怯えていた私にとって、もはや「やらない」という選択はあり得ませんでした。

説明を聞く限り「必要充分」というものではなく「やらないより、やった方がまし」くらいのイメージでしたが、その時の私にはそれで充分でした。

ドクターに言われた「他の患者さんは癌を治すためにもっと苦しい治療も頑張ってるんだぞ!」という言葉が、私も元気になるためにはどんな治療であっても頑張らなければいけない!そう、決意させたのです。