ペンギンオヤジの舌がん闘病記 Written by ペンギンオヤジ

【書籍】「27歳のニューガン・ダイアリー」

がん 書籍

●「27歳のニューガン・ダイアリー ボクの美紀ちゃんが乳がんになった話」
● 原案:「#乳がんダイアリー 矢方美紀」(NHK)
● 漫画:冬川智子
● 講談社 WIDE KC MORNING

ペンギンオヤジ「ある日、がんの告知をされたとして、それでも明るく夢に向かって生きられますか?」

元SKE48のメンバーで今は声優の夢を追いかけてる矢方美紀さん。
2018年に何気なくやったセルフチェックがきっかけで、乳がんを告知されてしまいます。

手術や闘病生活で苦しんだり、悩んだりしつつも夢もオシャレも何もかもあきらめずに前向きに生きていく姿を、飼い猫たちの目線を通して描くダイアリーコミックです。

重いテーマを扱っているのに、読後感はとても爽やかなものでした。
病気だけでなく、人生の困難にぶつかった時にとても勇気をもらえる1冊だと思います。

【目次】

アマゾンの内容紹介

愛猫と一緒に名古屋の街で初めての一人暮らしを満喫中の、元SKE48のタレント・矢方美紀、27歳。。アイドルをやめ、今は声優の夢に向かって邁進中の彼女、実は2018年1月に「乳がん」の宣告を受けていた──。ある日突然「ニューガン」になった彼女が、手術で左胸を全摘し、治療を続けながら夢を追いかける日常を、事実をもとにフィクションを交えて“現在進行形”で描くダイアリーコミック!

乳がんになったのも私の人生!

私の人生

この本では若い女性の乳がんという少し重いテーマを扱っているのに、読み終わったときには不思議と爽やかな印象が強く残ったんですよね。

乳がんで左乳房の全摘出、抗がん剤治療による脱毛や体調不良などなど、そんな闘病生活がツラくないわけないと思うんですよ。
それでも!この作品から爽やかで明るいイメージを受けるのは主人公、美紀ちゃんがとても前向きに病気と向き合ってるからでしょうね。

最初の方で美紀ちゃんは部屋の中で飼い猫のヌーに話しかけます。

乳がんで成長できたこともたくさんあるの
もし病気になってなかったら・・・って考えなくもないけど、今27歳になって思うんだ
乳がんになったのも私の人生!ってね

「キャンサー・ギフト」って言葉をご存知ですか?
そのまま訳すと「がんからの贈り物」って感じだと思うのですが、がんになったことで気づけたこと、成長できたことをキャンサー・ギフトって呼んだりするのです。

例えば、美紀ちゃんは「もしも乳がんになってなかったら、乳がんの人の気持ちを考えることもなく知らずに人を傷つけていたかもしれない・・・」っていいます。

よく「人生にムダなことなんて何もない」っていうじゃないですか?
がんになったら色々としんどいこと、ツラいことはあります。
でも、「なんで自分がこんな思いをしなきゃいけないんだ!」って思う中から、その日、1日を生きられる有り難さや人の優しさに気づけたりしたときに、がんという病気を前向きに受け入れることができるようになるのではないでしょうか。

がんになったことも自分の人生にとって意味があること。
がんになっても、自分の人生であることに変わりはないこと。

私「かわいそうな人」なんだ・・・

かわいそうな人

がんの痛みって、身体の痛みもあるけど、それと同じくらい心の痛みもあるんですよ。
不安や恐怖みたいな心の痛みもあるけど、対人関係の痛みっていうのも付いてまわってくる。

美紀ちゃんも、乳がんであることをブログで公表した後に受けた声に、こんなことを思ったそうです。

世間が思ってるがんのイメージと
私が前向きに乗り越えようと思ってるがんのイメージにギャップがあるなあ・・・

他にもテレビでがんの情報を発信すると寄せられる「かわいそう」という感想をみて「私って、かわいそうな人なんだ・・・かわいそうという言葉は、こんなにも重くて残酷な言葉に感じるんだ」と思ったそう。

まぁ、世間一般的に「がん=怖い病気」、「抗がん剤治療=ツラい」ってイメージが強いですからね。
それに、ある日突然、自分の友人とかが「がんになった!」としたら、なんて声を掛けてあげればいいのか分からないって人も多いのではないでしょうか?

「がん」といっても、病状は人それぞれだし、受け止め方も患者さんによって違うだろうから「これが正解!」っていう接し方はないと思うんだけど、個人的に思うのは勝手に、がん患者=不幸な人って決めつけるのだけは是非ともやめて欲しいと思う。

家族や職場の人であれば、安心して治療に専念できる環境を整えてあげて欲しいと思うし、友人とかであれば、寄り添ってあげて話す言葉に耳を傾けてあげて欲しいと思う。

それから、抗がん剤などで治療中の人に「がんばって」は結構ビミョーな言葉だったりします。。

(このへん、私の個人的な思いばかりでスマン!)

オシャレも何もかもあきらめない

あきらめないんだ

がんの治療中は薬の副作用をはじめとして、色々と生活に支障が出たりするものなんですね。

美紀ちゃんも、脱毛や顔のむくみ、指先の変色などに苦しんだようです。
でも、この本を読むとそんな障害も何のその!持ち前の明るい性格で克服しちゃいます。

髪の毛が抜けてしまっても、服に合わせてウイッグ変えて楽しむ。
指先の変色はネイルで隠す。

それに、美紀ちゃんは左乳房を全摘出したあと、再建手術を受けてないんですね。そうすると、着る服にも色々と困る・・・と思うのだけど、彼女はこんなふうに言います。

なんかね病気になって着れない服も増えたけど 限られた中でかわいい服を探すのも楽しいんだよね
新しい服に目覚めていく感じ?

私の好きな言葉のひとつに「置かれた場所で咲きなさい」っていうのがあるんだけど、美紀ちゃんは本当に今、その場で一生懸命に笑顔を咲かせてるんだと思う。

がんになったことで失ってしまうもの、不自由になることは色々とある。
だけど、それを「耐える」とか「ガマンする」のではなくて、前向きな気持ちで楽しんでしまう。

嘆き悲しむのも人生。楽しみながら生きるも人生。
どっちを選ぶかを決めるのは自分次第なんですよね。

感想

読書の感想

この本、タイトルに「ニューガン・ダイアリー」ってあるから、乳がんの『闘病記』って思いますよね。
でも、恋愛やファッション、趣味のコスプレの話しなども描かれてます。
それにSKEをやめた後、声優になる夢をかなえるシーンなんかも盛り込まれてるんですよ。

恋愛やファッション、趣味や仕事があって、闘病生活もある。いわば、闘病生活も美紀ちゃんにとっては人生を構成する一つのパーツになってるんだと思う。
だからこそ「乳がんになったのも私の人生!」って言えたりするんだろう。

とても明るく前向きに生きてる美紀ちゃんだけど、やはり悩んだり、心配になることだってある。

私のように50代でがんになるのと、20代でがんになるのでは話が少し違うんだよね。

50代のおっさんは「せいぜいあと20年くらい逃げ切れればいいか」って考えるんだけど、20代ってことは、これから恋愛、結婚、出産、子育てといった人生のビッグイベントが待ってるわけじゃないですか。

この本の中でも化学療法によって妊娠が困難になる場合があると医師から告げられ、卵子や卵巣を凍結保存するかどうかの選択をする場面があるんですよ。
他にも、左胸の再建手術をするかどうかについて考えたり。

がんになるということは、治療法をどうするか?その後の人生をどうやって生きていくか?という選択の機会が否応なしに増えていくことです。

健康な27歳の女の子なら考えなくていいことを考えなくちゃいけないのよね・・・

これは美紀ちゃんが卵子凍結をどうするか決断する姿を見ていた飼い猫ちゃんたちのセリフ。

確かにその通りなんだけど、逆に考えれば、それだけより深く自分の人生に主体的に関わることができるってことでもあると思うんですよ。

意識的に自分の人生を選択していく・・・

だから、この本の中で美紀ちゃんが何を考え、どう選択したか?というその姿は多くの人の生きるヒントになるんじゃないかって思う。

最後の最後に・・・

猫を投入

この本を読んで、すっかり美紀ちゃんのお母さんのファンになりました!

娘との距離感というか、何だか素っ気ない態度ににじむ優しさが良いんですよ!

「たまに美紀ちゃんに何かあった風な時は・・・・猫を投入して元気づけてくれる」

ぜひ、ここの描写には注目をしてくだされ!じんわりと心が暖かくなりますよ。