ペンギンオヤジの舌がん闘病記 Written by ペンギンオヤジ

【書籍】「がん手術を成功にみちびくプレハビリテーション」佐藤典宏/著

がん 書籍

●「がん手術を成功にみちびくプレハビリテーション」
●佐藤典宏:著
●大月書店

怠け者ブロガー「がんの手術前って不安ですよね、本人もご家族も。」

『プレハビリテーション』という、ちょっと聞き慣れない言葉。

簡単にいうと、手術を成功に導くために患者自身がやる準備のことです。

この『プレハビリテーション』をすることで、合併症のリスクが低減したり生存率の改善が見込めるとのこと。

この本では、外科医として1,000例以上のがん手術を執刀した著者がプレハビリテーションとはなにか?から始まって、その効果や具体的なプログラムや、やり方についてまとめられてます。

がんを告知されたあとは多少なりとも精神的にショックを受けてしまうのは仕方がないことだと思うんですね(私もそうでした)。

でも、そこで落ち込んでばかりいるよりも、手術の成功に向けて患者自身ができることをやったほうが気持ちも前向きなれるじゃないですか!

アマゾンの内容紹介

手術でがんの治療を目指す患者さん必読!
手術後の合併症を減らして早期に回復し、最終的にがんを根治するためやるべき運動・栄養サポート・メンタルケア(手術前リハビリ=プレハビリテーション)について、手術数1,000例をこえるがん専門医がやさしく解説。

プレハビリテーションとはなにか?

はてなマークと女性

プレハビリテーションとは手術前のリハビリのこと

『プレハビリテーション』という言葉を耳したことはありますか?

「リハビリ(リハビリテーション)」なら聞いたことあるけどなぁ〜、という人が大半ではないでしょうか?

実際に海外の研究結果より、患者さんが手術までの間に運動や総合的なリハビリテーションを行うことにより、手術の合併症が起こるリスクを減らし、早期に回復することが証明されています。
この手術前のリハビリテーションのことを、プレハビリテーション(prehabilitation)と呼びます。

手術は医師が行うもので、患者はただ手術台の上で寝てるだけ・・・と思う人も多いかもですが、著書は言います。

長年がんの手術を担当してきた私の経験や多くの研究結果を調査してわかったことは、手術の成功はむしろ「患者さん自身の手術に向けての準備」にかかっているということです。
手術は、患者さんと医師の共同作業です。

がんの告知を受けて、治療も何もかも主治医に任せっきり・・・という人がいると思いますが、私は(不遜な言い方ですが)「自分の命、医者に丸投げしない!」って考えるようにしたのです。

そのために、がんの本もたくさん読んだし、セカンドオピニオンを受けたりして、どんな治療法がベストかを自分で決めました。

当然、お医者さんの力は借りないとダメですが、あくまでも主役は自分だと考えてました。

この『プレハビリテーション』も、そんな私の考え方の延長線上にあるものなのかなぁ、って思いました。

プレハビリテーションの3つの柱

『プレハビリテーション」では、どんなことをするのでしょう?

もっとも基本となるプレハビリテーションのメニューは運動です。最近では、運動、栄養サポート(食事指導など)、および精神的ケア(不安を軽くするカウンセリングなど)の3つの柱から構成されるプレハビリテーションが主流です。

基本は「運動」「栄養サポート(食事指導など)」「精神的ケア(カウンセリングなど)」の3本柱ですが、がんの種類や進行度、患者さんの容態や年齢、手術方法などによって、メニューは患者さんに合わせて違ってくるそうです。

【プレハビリテーション3つの柱】

  • 運動
  • 栄養サポート(食事指導など)
  • 精神的ケア(カウンセリングなど)

プレハビリテーションによる3つの効果

●身体機能(体力)の回復

プレハビリテーションによって身体機能(持久力や筋力)が改善し、術後の回復がうながされていることが示されています。

大きな手術を受けた患者の半数くらいの人は手術から半年たっても身体機能や筋力が低下したままになるそうです。

研究では術前に運動や栄養サポートを受けることで、手術後の持久力や筋力の回復が早くなることが分かっているのだとか。

●合併症リスクの減少

プレハビリテーションによって術後の合併症が減り、回復が早まる結果、入院期間が短くなるというメリットもあります。

合併症とは「手術によってもたらされる好ましくない状態」のことで、たとえば、肺炎であったり、腸を縫合したところがうまくつながらずに内容物が漏れたり、あるいは創部(手術の傷口)が細菌によって化膿するといったことです。

腹部の手術を受けた患者さんに対する研究結果では、術前に運動や呼吸筋のトレーニングをしたところ、術後合併症が約40%ほど減り、とくに肺炎などの呼吸器関連の合併症は70%以上も減少したのだそうです。

●生存率の改善

プレハビリテーションは術後の合併症を予防して回復を促進するだけではなく、長期的ながんの予後(治療の経過)を改善する可能性があります。

がんを克服するため、あるいは長生きするためにも、プレハビリテーションをぜひ取り入れてほしいと思います。

プレハビリテーションによる生存率の改善についてはまだまだ研究途上のようですが、一部のがん患者さんの生存期間が延長されることが研究によって分かっているそうです。

【プレハビリテーションによる3つの効果】

  • 身体機能(体力)の回復
  • 合併症リスクの減少
  • 生存率の改善

がんの手術前にやるべき7か条

ウォーキング

この本ではプレハビリテーションの基本である「運動」「栄養サポート」「精神的ケア」の3つの他に著者が重要だと考える4項目を追加して「がんの手術前にやるべき7か条」を提唱してます。

【がんの手術前にやるべき7か条】

  1. 運動(有酸素運動+レジスタンス運動)
  2. 食事療法による栄養サポート(たんぱく質を意識)
  3. 精神的ケア(専門医受診や不安を軽減するための瞑想など)
  4. 口腔ケア(歯科医受診)
  5. 禁煙(喫煙者)および呼吸訓練(とくに高齢者や慢性の呼吸器疾患がある人)
  6. サルコペニア(筋肉やせ)の人は運動(筋トレ)+タンパク質強化
  7. プロバイオティクスによる腸内環境改善

詳しい具体的なやり方等についてはぜひ本書をご覧になってくださいね。

プレハビリテーションについて、主治医や病院側が指導してくれれば良いのですが、実際は懇切丁寧に指導してくれる病院はそんなに多くはないそうです。

ちなみに私のときは栄養サポート飲料を紹介されたのと「手術に耐えられる体力をつけてください」と言われただけでした。

そんな現状を踏まえて、本書では個別のメニューの組み方についても書かれているので、参考になるかと思います。

また、完璧主義の人がいるかもしれませんが、何せがんの手術前ですから体調が悪い日もあったりすると思うので「まったくやらないより、少しでもやったほうがいい」という気持ちで続ければいいとのこと。

がんの手術前の患者へどのように接すればいいか?

サポート

この本の最後に3つのコラムが収録されてます。その中のひとつ「がんの手術を控えた患者さんの家族へ」について紹介したいと思います。

このコラムでは、家族やパートナーなど身近な人ががんの告知を受けたときに、どんなサポートをすればいいか、逆にどんなことをしてはいけないかがまとめられてます。

まずは、ふだんどおり患者さんと接することです。そして、何より患者さんの話を聞いてあげることが大事です。

がんの告知を受けた患者さんは、だれかに心配や不安な気持ちを打ち明けたいと思っていますので、まずは話しやすい状況をつくってあげてください。

「話を聞いてあげる」これって、本当に大切だと思うんですよね。

なかには心配のあまり、患者さんに対してその心配な気持ちをドーンとぶつけたり、安易に「大丈夫だよ」とか「きっと治るから」って言う人もいるんですけど、これって患者の立場からすると、けっこうストレスになることがあるんですよ。

次に避けたいことは、親戚や知り合いにすすめられた治療法などを安易に取り入れることです。

がんになると、どこで聞きつけたのか友達の友達あたりのほとんど面識の無い人から健康食品やらサプリメントなどをすすめられることが多いようです(私のところにも来ました!)

まぁ、親切心からなのかもしれませんが、こういうものって大抵あまり効果がないんですよね。

家族にしても、すがれるものならワラでもいい!って心境ですから、ついつい真に受けて患者さんに「試してみたら」ってなるのですが、やめた方がいいです。

最後に避けたいことは、「自分のことをほったらかしにする」ということです。身近な人ががんになると、どうしても全力投球してしまい、自分のことは後回しになります。(中略)「家族は第二の患者」といわれるように、がん患者さんの家族も、同時に大きなストレスにさらされます。

家族が心身ともに健康でいないと、患者さんを支えることができません。

これは介護でも同じだと思うのですが、ストレスを抱えて頑張りすぎて自分が倒れてしまう・・・という「共倒れ」は絶対に避けなければいけないと思うのです。

だから敢えての「距離感」も必要なのではないでしょうか?

感想とまとめ

まとめ

この本は読んで知識を得る、というよりは実際にプレハビリテーションを実践するために『使う』本だと感じました。

本文中には、実際に運動のやり方やサルコペニア(筋肉やせ)のチェック方法などについてのイラストがいくつも載っているので、自分ひとりでプレハビリテーションをやるのにも役に立つと思います。

体幹運動

 

指輪っか

それにプレハビリテーションって、手術が終わって退院したら「はい、おしまい」ってもんじゃないと思うんですよね。

がんの治療って手術の後の経過観察期間も含めて長期にわたることが多いじゃないですか。

そうなると、手術後も自分の健康を気にしないといけない(何より再発が怖い!)。

実際、私は最初の手術から既に3年半、再発して2度目の手術から2年半が経ちますが、今でもウォーキングをしたりして運動を欠かさないようにしてるし、日々の食べ物にも気を使って栄養管理を続けています。

今回、この本を読んで以前はやっていたマインドフルネス(瞑想)や筋トレをまたやってみようかなぁって思ってます。

それから、著者の佐藤典宏氏はツイッターで日々、がんに関する情報を発信しているので、興味がある方はフォローするのも良いと思います。
( @norip1sato )

【まとめ】

・プレハビリテーションとは、がんの患者が手術前に行うリハビリテーションのこと

【プレハビリテーション3つの柱】

  • 運動
  • 栄養サポート(食事指導など)
  • 精神的ケア(カウンセリングなど)

【プレハビリテーションによる3つの効果】

  • 身体機能(体力)の回復
  • 合併症リスクの減少
  • 生存率の改善

【がんの手術前にやるべき7か条】

  1. 運動(有酸素運動+レジスタンス運動)
  2. 食事療法による栄養サポート(たんぱく質を意識)
  3. 精神的ケア(専門医受診や不安を軽減するための瞑想など)
  4. 口腔ケア(歯科医受診)
  5. 禁煙(喫煙者)および呼吸訓練(とくに高齢者や慢性の呼吸器疾患がある人)
  6. サルコペニア(筋肉やせ)の人は運動(筋トレ)+タンパク質強化
  7. プロバイオティクスによる腸内環境改善