ペンギンオヤジの舌がん闘病記 Written by ペンギンオヤジ

【雑記】「抗がん剤やワクチンはイヤ!」問題を心理学や行動経済学の理論で考えてみた

雑記

ペンギンオヤジ「抗がん剤やワクチン接種を受けるかどうか?迷う心理について考察してみました」

「抗がん剤治療は受けたくありません」という人は珍しくないようで、実はかつての私もそうでした。

「受けたくない」理由は人それぞれだと思います。

それに私は抗がん剤治療にしても、昨今の新型コロナワクチン接種についても、それぞれ自分で考えて決めればいいという立場なので、何がなんでも治療を受けてください!接種してください!とは思ってません。

ただ、治療方法について意思決定するときに「人には認知の歪みがある」ことを知っていると、自分の考えをまとめるときの参考になるんじゃないかと思い、この記事を書いてます。

【この記事のポイント】

私が抗がん剤を拒否したあの日

ばってん

以前にも記事にしたことですが、改めて最初の手術後にドクターから提案されていた「抗がん剤と放射線治療」を拒否した経緯について簡単にまとめてみたいと思います。

手術のときに切除した舌の細胞検査の結果、完全にはがん細胞を取りきれていないことが分かり、再発転移する可能性が高いとの説明を受けました。

再発転移を防ぐためにドクターからは抗がん剤治療と放射線治療を並行して行う治療を提案されましたが、私は「もうこれ以上の治療は受けません」と拒否してしまったのです。

その時の私の心理は次のようなものでした。

  • 放射線と抗がん剤治療を受けたからといって、それで安心というわけではない
  • 逆に治療を受けなかったからといって、絶対に再発するわけではない

こうした考えを頭の中でグルグルさせながら、もっともらしい理由を見つけて治療拒否を決めたのです。

それでも、一度は「もうこれ以上の治療は受けません」とは言ってはみたものの、その後も心は揺れ動いて最終的には「最低限の抗がん剤治療だけでも受けませんか?」というドクターの申し出に首を縦にふったのでした。

その当時の詳しいことはこちらの記事からどうぞ。

 

プロスペクト理論とは?

メリットとデメリット

行動経済学の理論の一つに「プロスペクト理論」というものがあります。

これは、簡単にまとめると「人は利益よりも損失の方を過大視してしまう。特に人間は損失を嫌う」というものです。

たとえば、次のような質問があったとします。

(A)何もしなくても100万円もらえる
(B)じゃんけんをして勝ったら200万円もらえる、ただし負けたら0円

さて、AとBどちらを選択しますか?

研究では多くの人は(A)を選択するそうです。

これは、じゃんけんに負けたら0円という損失回避の心理と、利益に対してはより確実性を求めるという心理が働いてると考えられます。

次に、次のような条件だったらどうでしょうか?

(A)何もせずに100万円支払う
(B)じゃんけんをして負けたら200万円払わないといけない、勝ったら支払いは発生しない

このような条件では多くの人は(B)を選択するといいます。

人は損失に対してはリスクを取ってでも回避しようとする心理を表しています。

この二つをまとめると「人は得をするには手堅く、損に対してはギャンブルをしてでも回避する」と言えるのではないでしょうか?

現状維持バイアス

現状維持バイアス

「現状維持バイアス」は行動経済学とか心理学の文脈でよく語られるものです。

簡単に説明すると、たとえ有益であったとしても未知のものに対する恐怖心などから現助維持を選択してしまい、変化を嫌う心理のことです。

例えば・・・良い条件で転職できる可能性があるのに、その決心がつかずにダラダラと現在のブラックな企業で働き続けてしまうのも変化を嫌う「現状維持バイアス」があると考えられます。

時間割引率

時間に悩む

最後に「時間割引率」についても簡単に触れておきたいと思います。

ひと言で説明すると「人は将来の価値よりも現在の価値を重視する」というものです。

例えば・・・ダイエットをしてる人がいたとしましょう。

甘いものを我慢して、運動もやってスリムなボディーを手に入れたい!(そしてモテたい!)という将来の価値よりも目の前のケーキの誘惑に負けて食べてしまう人・・・いますよね。

こういう人のことを「時間割引率の高い人」と言ったりします。

合理的判断を惑わす3つの心理.001

抗がん剤やワクチンを拒否する心理

why_not?

さて、長々と知ったかぶりをしながら「プロスペクト理論」「現状維持バイアス」「時間割引率」について説明してみましたが、お分かりいただけたでしょうか?

最初に書いた私が抗がん剤治療を拒否したときの心理って(今にして思えば)、この3つの理論でだいたい説明できちゃうんですよ。

【あの時の私の心理】

  • 放射線と抗がん剤治療を受けたからといって、それで安心というわけではない
  • 逆に治療を受けなかったからといって、絶対に再発するわけではない

その時の心理を私なりに分析すると以下のようになります。

●人間は損失をより大きく感じる(プロスペクト理論)

・抗がん剤や放射線治療による利益(再発が防げる可能性が高くなる)よりも、損失(治療による副反応などによる痛み)の方を過大視していた

・もしかしたら再発するかも?というリスクを取ってでも、損失回避を選んだ

●人間は未知のものを受け入れるよりも現状維持を好む(現状維持バイアス)

・未体験の抗がん剤治療で将来の安心を選ぶよりも、手術で舌の大きな腫瘍が取り除かれて食事のたびに感じていた激痛から解放された現状維持を選択した

●将来の利益よりも現在の利益を選択する(時間割引率)

・治療を受けることで得られる(かもしれない)将来、再発をしないという利益よりも、そのとき目の前にあった「何もしない」という価値を選んだ

あの当時は、自分なりにかなり真剣に考えたものですが、こうして振り返ってみると、かなり認知が歪んでいたことが分かります。

ペンギンオヤジ「あまり合理的な判断ではないですよね。」

こうした理論を昨今のワクチン接種に当てはめると、次のように考えられます。

いま現在、症状はなにも起きてないわけですから、ワクチンで起きる可能性があるわずかな副作用がとても大きな損失と捉えられてしまいます。
ワクチンを摂取することで受ける恩恵は大きいものなのですが、ワクチンが効いてしまえば症状が出現せずメリットを感じることもありません。
出典:「本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。」大塚篤司・著

よく「ワクチンを摂取することで得られるメリットとデメリットを比べたうえで摂取するかどうかを決めて欲しい」ということが言われますよね。

でも、そもそも現状=感染してない(元気!)、将来のメリット=感染しにくい(元気!)なので、どうしても現状維持バイアスも加わって、メリットが実感しにくく、ネガティブな副反応を過大視してしまう心理が働いているのかもしれません。

まとめ

まとめ

抗がん剤やワクチン接種を選択しない理由は、ここに書いたものだけでなく、そもそも薬品や医師のことを信用できない!とか、体質や体力の問題で治療や摂取を受けられない人もいると思います。

それに・・・

最初に書いたように、私は何がなんでも抗がん剤やワクチンを受けた方がいいよ!なんて思ってません。

治療を受けるかどうか?接種するかどうか?どちらも個々人がそれぞれ考えて決めるべき問題です。

ただ、何かの意思決定するときに「人には認知の歪みがあり、合理的な判断をくだせないことがある」ということを知っていれば、自分の考えを見直す一つの材料にはなると思うんですよね。

まぁ、合理的な判断をすることがその人にとって良いことなのかどうか?これまた個人の価値観によるものではあるのですが。。